インボイス不要でOK? 「少額特例」で税込1万円未満の仕入れがラクになる話

インボイス制度が始まってから、「1件1件の領収書をすべてインボイス対応にしないといけないのか…」と負担を感じている方も多いのではないでしょうか。実は、一定規模以下の事業者であれば、税込1万円未満の少額な取引についてはインボイスの保存がなくても仕入税額控除ができる、という緩和措置があります。これが「少額特例」です。

少額特例とはどんな制度か

通常、仕入税額控除を受けるには、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。しかし少額特例の対象になる事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます

つまり、コンビニでの少額な備品購入など、税込1万円未満の少額な経費について、いちいちインボイス(適格簡易請求書等)を確認・保存しなくても、帳簿に必要事項を記載しておけば控除できる、という実務上ありがたい措置です。

対象となる事業者

少額特例は、すべての事業者が使えるわけではありません。次のいずれかに該当する事業者が対象です。

  • 基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が 1億円以下
  • または、特定期間(個人事業者は前年1〜6月、法人は前事業年度開始日以後6か月間)における課税売上高が 5,000万円以下

比較的規模の大きい会社ではなく、中小・小規模事業者を後押しするための措置と言えます。

「税込1万円未満」の判定単位に注意

ここでよくある勘違いが、「1商品ごと」ではなく「1回の取引ごと」で判定するという点です。

  • 例:1回の買い物でボールペン(3,000円)とノート(4,000円)を同時に購入し、合計7,000円の会計をした場合 → 1回の取引で7,000円なので少額特例の対象
  • 例:同じ買い物でも、合計金額が1万円を超えていれば → 対象外(インボイスの保存が必要)

「1商品あたりの金額」ではなく、請求書・領収書1枚あたりの合計金額で1万円未満かどうかを見る、というのがポイントです。

帳簿には何を書けばよいか

インボイスの保存を省略できるとはいえ、通常の仕入税額控除に必要な帳簿の記載事項(相手方の氏名・取引の年月日・取引内容・金額など)は、これまでどおり必要です。「インボイスがいらない」だけであって、「記帳が不要になる」わけではない点に注意しましょう。

まとめ

  • 少額特例は、**基準期間の課税売上高1億円以下(または特定期間5,000万円以下)**の事業者が対象
  • 税込1万円未満の課税仕入れなら、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除OK
  • 判定は「1商品ごと」ではなく「1回の取引ごと」の合計金額で行う
  • 帳簿への記載事項自体は省略できない

少額な経費の処理に手間を感じている事業者の方は、自社が対象要件を満たしているか、一度確認してみることをおすすめします。


本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。適用期間や要件の詳細(税制改正による変更の有無を含む)は、国税庁の公表資料または顧問税理士に必ずご確認ください。